手を清める
大相撲大阪場所を見ていて思い出したことがあります。
「空手水」(からちょうず)です。
茶道の許し物の一つ「盆点」は、名物などの唐物茶入を盆にのせ、茶入を特に丁重に扱う点前として知られています。
その所作の中に「もみ手」と称して、左右の手のひらを交互に握りしめて揉むようにする所作があります。(モミモミです!)
これは、手の湿りを除く、手を清める、或いは手を清めたことにする所作として、一般的には「空手水」と云われているようです。
実は、こうした所作をすることによって、心まで清められているのかもしれません…。(^O^)
「空手水」は、手水の代わりに、或いは水が使えない場所で、手を清めるための所作と理解しています。
野山で草木の葉を用いて、指先をひねったり、こすったりする「柴手水」(しばちょうず)も同様です。
大相撲では「塵手水」(ちりちょうず)と呼ばれている所作も「空手水」。
噂居の姿勢で、両者共に掌をこすりパン!と柏手を打ち、手のひらを上にして両手を広げパッと掌をかえす所作ですが、「塵を切る」とも云うのだそうです。
清めの所作は実にいろいろです。
香道の手前では、乱箱に本香炉が二つある場合、右膝横で左手のひらを上に向けて右手のひらをかぶせ、次いで上下を逆にするようにして、手を清めてから、二つの香炉の火合・火相(ひあい)をみるようです。(左右の手は逆だったかも?)
四方盆・長盆では、本香炉が一つなので、右膝横で右手の親指等の指先をひねるようにして(葉をひねるように?)手を清めてから、香炉の火相をみるようです。
日本の伝統文化・伝統芸能にはそれぞれ独自の「手を清める」所作があるに違いないと思っています。
カンアオイ【寒葵】の花が咲いています。
地味ながら、可愛い花です…。
※一見、花は無いように見えますが…。
※中央右に三つ並んで小さい茶色の花が咲いています。
詩歌をちこち 【千鳥香】
|『古今和歌集』巻第七 賀歌 345
| 題しらず よみ人しらず
しほの山さしでのいそにすむ千鳥 きみがみよをばやちよとぞなく〔大意〕しほの山のさしでの磯に住んでいる千鳥は、あなた様のみ「世」のことを八千「世」と呼んで鳴いております。
*和歌出典『新編国歌大観』(角川書店)
*大意出典『新日本古典文学大系』(岩波書店)