山笑ふ
風は穏やか、柔らかな陽射しが降り注ぐポカポカ陽気の一日でした。
土曜の朝は毎週NHKR1「石丸謙二郎の山カフェ」を聞いていますが、今週はお休み。
ゆったりとしたイントロ曲に乗せて、俳優・石丸謙二郎が奏でる独特の語り口は、まるで自分がそこにいるかのような気分に誘ってくれます。
かって登った山々を思い出しながら楽しんでいますが、先週の土曜日が今年度最終回で、次回は新年度4月4日からとか…。
そんな「山カフェ」のマスター・石丸謙二郎が先週最後に紹介したのが正岡子規の俳句。
故郷やどちらを見ても山笑ふ
「山笑ふ」は春の季語となっています。
下は、ひと括りにして、よく言われている季語です。
春 山笑ふ
夏 山滴る
秋 山粧ふ
冬 山眠る
これらは、北宋の画家・郭煕(かくき)の『郭煕画譜』にある四季の山の特徴から採られた季語のようです。
春山淡冶而如笑
夏山蒼翠而如滴
秋山明淨而如粧
冬山慘淡而如眠
「春山淡治(たんや)にして笑ふが如く、夏山蒼翠(そうすい)として滴(したたる)るが如く、秋山明浄(めいじょう)にして粧(よそお)ふが如く、冬山惨淡(さんたん)として眠るが如し」
新年度4月からの「山カフェ」シーズン2を楽しみにしています。
新型コロナウイルスの感染拡大で「山泣く」とならないことを願いつつ…。
※ミヤマシキミ
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季語ではありませんが、四季を詠った漢詩でよく知られているのは「四時(しいじ)の歌」あたりでしょうか。
何れの句も一行物として茶会に掛けられることがある句となっています。※出典『石川忠久・中西進の漢詩歓談』(大修館)
春水満四澤 春水(しゅんすい)四澤(したく)に満(み)ち
夏雲多奇峰 夏雲(かうん)奇峰(きほう)多(おお)し
秋月揚明輝 秋月(しゅうげつ)明輝(めいき)を揚(あ)げ
冬嶺秀孤松 冬嶺(とうれい)孤松(こしょう)秀(ひい)づ
詩は陶淵明(とうえんめい)(365~427)の作と云われていますが、同じ東晋の画家・顧愷之(こがいし)(345?~406)の作とする説が大勢のようです。
春は水、夏は雲、秋は月、冬は嶺ですか…。(^O^)