十二律
徳川美術館のロビーの隅に、所蔵名品をタッチパネル方式で見る事ができるディスプレイが置いてあります。
訪れた時には、いろいろタッチして遊んでいますが、「奥道具>楽器」の中に筒が12本並んだ道具がありました。
十二律の竹管で婚礼道具の一つのようです。
十二律は、中国・日本などの音楽で、半音ずつ隔てる12音を以て1オクターブの音列を形成する音律のことで、その基音を日本の雅楽では壱越(いちこつ)、中国では黄鐘(こうしょう)といい、長さ九寸の律管が発する音とされたのだそうです。
<日本での十二の名と音階>
壱越(いちこつ) …D(レ)
断金(たんぎん) …D♯
平調(ひょうじょう)…E(ミ)
勝絶(しょうせつ) …F(ファ)
下無(しもむ) …F♯
双調(そうじょう) …G(ソ)
鳧鐘(ふしょう) …G♯
黄鐘(おうしき) …A(ラ)
鸞鏡(らんけい) …A♯
盤渉(ばんしき) …B(シ)
神仙(しんせん) …B♯
上無(かみむ) …C(ド)
基音の<壱越>は長さ九寸とあるので、一寸=3.03cm、管口補正は考えないで、ざっと計算してみると基本音の振動数は約312Hzとなります。また、1オクターブ高い<壱越>は振動数2倍の624Hz ということになります。
音階の基準音として使用されるA(ラ)の音は、440Hz(NHKの最初の時報音)とされていますが、邦楽ではこの基準音が430Hz と少し低くされているそうです。
先程の長さ9寸の律管の基本振動数を312Hzとして、等比数列で計算するとA(ラ)の音は467Hz程になってしまいます。
全く合いません。
管の長さ9寸とありますが、昔と今では寸の基準が違うかもしれません。また、一寸=3.03cmとしましたが、これも昔と今では違うのかもしれません。管の内径も管口補正に影響し、振動数に関わってきます。計算間違いもあるかもしれません…。
そもそも、昔の音と振動数を単純に比較して云々するところに無理があるのかもしれません。(弁解多々!)
ともあれ、いろいろ考えてみましたが、見当違いの事をあれこれ弄んでいる感が拭えません。
いろいろとデータを集める事ができれば、また記したいと思っています。
なんだか、藪の中に入り込んだ気がしています…。
【追記】7月15日
徳川美術館所蔵の十二律管のデータを教えていただきました。
壱越 長さ:6寸5分/口径:3分2厘
上無 長さ:4寸3分/口径:3分
ということは、……。