香道一口メモ・40-41

今日10月28日は、旧暦では九月九日、重陽の節供の日です。
旧暦では閏五月があった関係で、節供も例年よりちょっと遅い感じです。
鉢植えの嵯峨菊の蕾が膨らんできています。

中日新聞に連載されたと云う香道一口メモを懲りもせずに続けています。

香道一口メモ・40【文亀年中の名香合わせ①】

宗信邸で行われ、列席者は連歌師の牡丹花肖柏(ぼたんかしょうはく)、帰牧庵玄清、二階堂行二、松田丹後守長秀、宗信ら五名。宗信はこの状況を連歌師宗祇に書き送ったようで、その返書の冒頭に、この会は当世非常にめずらしいことだと述べ、宗信が名香を贈ったことや茶の湯の開山・珠光がこの会に欠席した理由を尋ねている。

香道一口メモ・41【文亀年中の名香合わせ②】

薫(たき)物合わせに代わるものとして、当時の教養人が関与するなど、画期的な香会であったことが知られる。東山文化は義政の同朋衆が重要な役割を演じたが、香道がわが国独自の文化にまで発展したのは、義政や著名な文化人相阿弥、三条西実隆、宗祇、肖柏、珠光らの功績といえる。いらい香道は今日まで連綿と続いた。

※志野宗信家で催された文亀二年(1502年)の「名香合」記録は『群書類従』に載っています。なお、三條西の事書などは略します。

一番(左:逍遥  右:中河 )
二番(左:法花経 右:手枕 )
三番(左:漂澪  右:七夕 )
四番(左:蘭子  右:斜月 )
五番(左:紅塵  右:鷓胡班)
六番(左:園城寺 右:古木 )
七番(左:雲井  右:中河 )
八番(左:明月  右:花筐 )
九番(左:富士煙 右:楊貴妃)
十番(左:隣家  右:花ノ雪)

[名香合人数]夢庵肖柏、帰牧庵玄清、咲山軒大偈、二階堂行二、松田丹後守長秀、肥田左京亮兼直、内藤大蔵丞元種、波々伯部兵庫助盛郷、志野三郎左衛門宗信、志野彌三郎祐憲
[事書作者]三條西殿
[清書筆者]夢庵肖柏

※波々伯部…(ははかべ)又は(ほうかべ)とも読むようです。