興正寺月釜

近畿地方に甚大な被害を及ぼした台風21号に続いて、この6日未明には北海道の胆振(いぶり)地方中東部を震源とする震度7の大地震が発生し、甚大な被害をもたらしています。
北海道全域が長時間にわたって停電(ブラックアウト)するという、およそ考えてもみなかった事態も発生しました。
被災地の復旧、復興が一日でも早いことを切に願うばかりです。

東海地方も一雨ごとに気温が下がり、一時と比べると随分過ごしやすくなりました。
炎暑・猛暑・酷暑で、足が向かなかったお茶会にやっと行ってみる気になり、八事・興正寺の月釜に出かけました。

※萩が咲いています。

席主さんは松尾流の村瀬玄之氏で、氏は和紙を胎として漆を塗った器物を作る張貫師でもあります。
今日のお席では、マニ車を模した莨入れが氏の作品とのお話がありました。

寄付きに掛けられていた色紙は「如真珠月似弓」だったように記憶していますが、大書された「露」の崩し方が二文字にみえるほどで、席主さんの説明でやっと納得した次第です。(今日は二十四節気の白でした!)

もう一つのお席・興正寺席では、干菓子と懐紙がとても凝っていました。

干菓子は秋田県の「もろこし」と芳光の「かるめら?」、懐紙は京都・和詩倶楽部の「般若心経」。

※懐紙の雲形は般若心経の文字で…。

床の掛物は風神雷神図で、二百十日・二百二十日に因んだとか…。
遊び心に満ちていました。

香道の心得 ◆長月◆ (4)

 床の間には極彩色の四季花鳥を襖絵にした「四季棚」を置き、その前に四季折々の造花を挿した香袋を飾る。天井から釣香炉を下げる。生花は原則として生けないが、今は特に芒に萩、女郎花、ききょうなどを入れてみる。床柱に霊絲錦(れいしきん)―絹張りに春秋の草花を描いた一種の香袋―、それともすみに訶黎勒(かりろく)を掛ける。書院には料紙、硯箱などを置く。
聞香具は脇床に据えられた志野棚か違い棚に飾り付ける。
さて装飾が調うと聞香の手前が始まり、客一同、月見の香に心を寄せるのである。

※上記の香道具(四季棚・挿枝袋・釣香炉・霊絲錦・訶黎勒・料紙・硯箱・聞香具・志野棚/違い棚)等が設えられた家元・松隠軒の座敷が目に浮かんでくるような一文です…。(^O^)

※「四季棚」は、何時のことだったかは覚えていませんが、松隠軒で一度だけ床に飾られていたのを見たような記憶があります。
棚の四枚の襖に桜、牡丹、野に鶉、雪に鷺などの四季の花鳥を描いた棚で、その時季の襖から香を取りだすのだそうです。

※鳩居堂の香道具パンフレットには志野棚の写真が載っていますが、8年前の香道具価格表によると志野棚(棚のみ)は税抜き160万円、四季棚(棚のみ)は同390万円とありました…。(出るのは溜息ばかりです…!)