秋の大茶会2018
中日文化センター主催の「秋の大茶会」が秋晴れの下、名古屋八事の「八勝館」で催されました。
裏千家、表千家、松風流、志野流香道、松尾流のお席が設けられ、終日賑わっていました。
志野流香道のお席の組香は「宇治名所香」。
宇治の名所を香りで巡るといった趣向の組香のようです。
◆香は五種
小嶋崎として 二包で内一包試
山吹瀬として 同断
橋姫 として 同断
扇芝 として 同断
朝日山として 同断
◆聞き方
五つの試みを聞いた後、出香五包を打ち交ぜ、内より一包取り炷き出します。
(所望により、追加として残り四包の内から更に一包炷き出す場合もあります)
◆メモ
五種の香すべてに試みがあり、内一つだけ炷き出すという、とってもシンプルな組香です。
とは云うものの、五種類もありますから途端に難しくなってしまうとも云える組香です。
[小嶋崎](こじまがさき)-場所ははっきりしないようですが、宇治橋の下流にあったようです。安永九年(1780)刊行の『都名所図会』には「宇治橋の川下二町にあり。平家物語に曰く、平等院の艮(うしとら)、橘の小嶋が崎より武者二騎引きかけ…」と記され、和歌にも小嶋が崎が歌枕として詠まれています。
[山吹瀬](やまぶきのせ)-こちらの場所も特定されてはいないようです。『都名所図会』には、源融(みなもとのとおる)(822~895)の別荘がこの地にあったとき、川岸に山吹をたくさん植えたことから名づけられたとあります。
[橋姫](はしひめ)-源氏物語宇治十帖の「橋姫」からの名なのでしょうか。また、橋姫は宇治橋の守り神ともされているようです。
[扇芝](おうぎのしば)-平安末期に、源頼政が似仁王(もちひとおう)を奉じて平氏打倒の兵をあげるも戦いに敗れ、遂には宇治平等院の境内で軍扇をおいて自刃。頼政の最期は『平家物語』にリアルに大迫力で記されています。扇形の芝地には石碑がたてられています。
[朝日山](あさひやま)-宇治川右岸にある低い山です。
宇治は昔も今も矢張り名所です…。