惜別~吉岡幸雄さん

昨日の朝日新聞夕刊の惜別欄に染織家・吉岡幸雄さんの追悼記事が載っていました。
TVにも時々お出になっていたので、ご活躍中とばかり思っていました。

東大寺二月堂のお水取り(修二会)で、僧侶の手によって椿の造花が作られ、十一面観音を飾ることは知っていましたが、染めた和紙を吉岡さんが奉納していたことは、この記事で初めて知りました。
和紙で椿の造花を作るには、花弁の赤色、白色だけではなく、蕊の黄色も必要ですが、吉岡さんは三色全てを奉納されていたようです。
謹んでご冥福をお祈りします…。

お水取りの時季には、奈良の菓子舗で椿に因んだお菓子がいろいろ販売されているようです。
個人的なイチオシは満々堂道則の「糊こぼし」。
東大寺には「糊こぼし」と名付けられた椿があり、赤い花弁に白い斑が散っていて、ちょうど糊を散らしたように見えるところからの名と聞いていますが、満々堂のお菓子の花弁は一枚ずつ紅白となっています。
お菓子はお水取りの時季になると、販売されていたように記憶しています。

※箱です。

※「糊こぼし」です。(古い写真です)

詩歌をちこち 【有明香】

|『新古今和歌集』巻第六 冬歌 591
| 題しらず  源信明朝臣
ほのぼのと有明の月の月影に 紅葉吹きおろす山おろしの風
〔大意〕ほのかに明けゆく空に残る有明の月の光の下、紅葉を吹きおろす激しい山おろしよ。

*和歌出典『新編国歌大観』(角川書店)
*大意出典『新日本古典文学大系』(岩波書店)
※源信明(みなもとのさねあきら)