2020中秋の名月

今日は旧暦の八月十五日、中秋の名月の日です。
定番の、団子・衣被(きぬかつぎ)・薄(すすき)・萩などをお供えしてお月見です。

尤も、衣被は里芋ではなく、菓子舖「たねや」のお菓子「きぬかつぎ」で代用しました。(^^)
外朗に漉し餡で、子芋が付いています。

香道で月見の香といえば、その名の通りの「月見香」がよく行われているようです。
香は月(有試)・客(無試)の二種で、それぞれ三包ずつ計六包を打ち交ぜ、内から三包取って炷き出します。
月と客の出によって、次の八通りの名目で答えるようになっています。

月月月と聞くは 十五夜
月月ウと聞くは 待宵
ウ月月と聞くは 十六夜
月ウ月と聞くは 水上月
ウ月ウと聞くは 木間月
ウウ月と聞くは 残月
月ウウと聞くは 夕月夜
ウウウと聞くは 雨夜

名目は客香(ウ香)を水や木、明るさ等にたとえて、いろいろな月を鑑賞するという趣きある組香となっています。

十五夜、旧暦八月十五日の月に因んだ組香に「新月香」があります。
新月といっても、ここでの新月は朔月のことではなく、十五夜に東の空に上った月のことです。

「新月香」は香三種[楽天(らくてん)・阮稹(げんしん)・月]の計十二包を二包一組として、六組を炷き出す組香になっています。
答えは、二炷を一組として[楽天・阮稹・外・色・月・二千里または故人心]で答えますが、この組香は白居易(白楽天)の七言律詩から二句を引いて組まれています。

三五夜中新月色(さんごやちゅうしんげつのいろ)
二千里外故人心(にせんりがいこじんのこころ)

※三五夜=十五夜(3×5=15)、新月=出たばかりの(満)月、故人=旧友

川口久雄『和漢朗詠集 全訳注』(講談社学術文庫)によると、次の現代語訳が記されています。

「今夜は十五夜、みやこ長安の地平に、いま大きな満月が姿をあらわしたところです。二千里のかなたにあるわが親友(阮稹)も、この同じ月をながめていることだろうが、いったいどんな気持ちでいるのでしょうか。」

中秋の名月を見て、都から遠く離れた地へ左遷された阮稹を思って、白居易が詠んだ詩となっています。

2020年の中秋の名月をスマホで撮ってみました。(ボケてます!)