桔梗の花

公園の歩道脇に桔梗の花が咲いていました。

気が付けば、一週間後は早や「立秋」です。

『萬葉集』(岩波書店)には、山上憶良が秋の野の花を詠んだ二首が収められています。

1537 秋の野に咲きたる花を指(および)折り かき數ふれば七種(ななくさ)の花

1538 萩の花尾花(をばな)葛花(くずばな)瞿麥(なでしこ)の花 女郎花(をみなへし)また藤袴(ふぢばかま)朝貌(あさがほ)の花

二番目の歌は、秋の七草の歌として広く知られています。(私でも覚えています!)

最後七つ目「朝貌」の正体については諸説あり、未決定ながら現在は「桔梗」とする説が有力のようです。

『日本国語大辞典』には、「秋の七草」の[語誌]に以下の記述があります。

◆七草の一つ桔梗は、鎌倉期の「八雲御抄-三」、江戸期の滝沢馬琴「読本・松染情史秋七草」、享保(1716-36)頃の歌謡「秋の七草」では朝顔である。しかし、今日いう朝顔、古名「牽牛子(けにごし)」は中古に入って輸入されたもので上代にはなかったとする説があり、「万葉集」の朝顔は木槿(むくげ)、旋花(ひるがお)、桔梗などと説かれている。「新撰字鏡」では「桔梗」を「阿佐加保」と訓んでおり、また他の六つが野に咲く草花であることから現在では桔梗が有力とされる。◆
※『新撰字鏡』…平安前期の漢和辞書。898~901頃の成立。

香道では、札銘の[秋之部]に桔梗(ききょう)があります。

また、志野袋花結びでは、桔梗は旧暦八月に用いられています。(^^)