賀
志野流香道二十一世・蜂谷一枝軒宗苾家元の家元襲名記念聞香会が、先日の5月29・30・31日の三日間、京都・銀閣寺で催されていました。
併せて、記念展覧会「香道の正統」展が銀閣寺近くの白沙村荘(橋本関雪記念館)で開催されています。(5月28日~7月26日)

記念聞香会当日午前の流れは名香席→組香席→茶席→展観席と廻り、白沙村荘の点心席で終了という段取りだったようです。
聞いたところによると、名香席で炷かれた名香の一つは「賀(よろこび・が)」、そして組香は「慶賀香」であったとか…。
家元襲名記念に相応しい名香、そして組香と感じ入りました。(^^)
六十一種名香「賀」の香りを聞いたことはありませんが、メディアを通して見聞きした覚えはあります。
足利義満秘蔵の六十一種名香「賀」(が・よろこび)は、義満が五十歳の御賀に炷かれたことからその名があるとか…。
木所は真那賀、味は甘苦辛と『香銘大鑑』にはあります。(『日本国語大辞典』では木所・真南蛮)
「賀」(よろこび)と云えば、平成21年(2009)に松隠軒で催された「平成の名香合(あわせ)」(NHK特集番組)の中で、徳川美術館長・徳川義崇氏が持ち寄った名香「賀」が思い出されます。
※NHKBS「平成の名香合」より
「平成の名香合」では、有馬頼底氏が「千鳥」、徳川義崇氏が「賀(よろこび)」、近衛忠大氏が「明石」、冷泉貴実子氏が「寝覚」、当時の蜂谷宗玄家元が「紅」、当時の蜂谷宗苾若宗匠が「花宴」と、六十一種名香による「名香合」でした。
また、令和7年(2025)の3月18日には、足利義政像がある銀閣寺・東求堂で家元継承式が行なわれ、名香「賀」が炷かれています。(三月十八日は流祖・志野宗信の忌日)
そして、今回の家元襲名披露記念聞香会での「賀」。
足利義満五十の御賀の時に炷かれた香木が600年余の時を経て、一枝軒宗苾家元50歳節目の年に襲名記念香会で炷かれたことは、家元の新たな決意、並々ならぬ覚悟の表れと感じているところです。