八十八夜の別れ霜
今日は雑節の八十八夜、立春から数えて88日目にあたる日です。
この頃が霜の降りる最後となり「八十八夜の別れ霜」と云われるように、以後は降霜の心配が無いことから、農家では種まきの季節とするようです。
なんでも、米という文字を分解すると八十八になるところに、この日が由来するとか…。
茶摘みの最盛期でもあるようです。
お茶の世界では、八十八夜の前二十一日間に摘んだ茶が「初昔」、後二十一日間に摘んだ茶が「後昔」などと、茶銘の由来についてまことしやかに語られていたものですが、この説は『原色茶道大辞典』ではあっさり否定されています。(昔という文字を分解すると二十一日という文字遊びは面白いです!)
古来、宇治の茶園では八十八夜が茶摘みの基準日になっていなかったと云うのですから、なんとも致し方ありませんネ。
コデマリ【小手鞠】がこじんまりと咲いています。
表千家流の雑誌『茶道雑誌』5月号に「茶道雑誌アーカイブ 昔の連載を顧みる」が載っていました。
5月号のタイトルは「茶室の花」。
その中で「みやこわすれ(都忘)」について次の様に記してありました。
■「みやこわすれ」というのは「のしゅんぎく」の異名で、これを大阪方面ではみやこわすれ(都忘)と呼び、東京方面ではあずまぎく(東菊)とそれぞれ優しい名称で呼んでいる。■
四月末の名古屋・洗心茶会で、花入に紫色の「みやこわすれ」が入れられていました。
これまで「みやこわすれ」以外の名称は聞いたことがないのですが、東京の茶会などではどうなのでしょう…。
それにしても「みやこわすれ」とは、なんとも雅な名称です。
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志野流香道先代家元・蜂谷幽求斎宗由宗匠(1902~1988)が、かって月刊誌に寄稿されていたと云う「香道の心得」です。
香道の心得 ◆皐月◆ (1)
別名を競香(きそいこう)と言い、盤物の代表的な競馬香は、賀茂祭(葵祭)とともに平安朝の風俗を伝える著名な行事の一つ、五月五日に行われる賀茂神社の競馬(くらべうま)に由来する組香である。
賀茂の競べ馬の神事は平安時代に始まり、五穀成就を祈るためと言われ、また武徳殿で行われた様式―儀式、行事、服装、施設など―を伝えていると言われている。
本番の競べ馬に先立ち、番立てをするために出場する馬の遅速をあらかじめ調べる〝足揃え〟の儀や、左方から一頭走らせ、走り終えると右方から一頭走らせるという小手調べをする〝空走り〟などの馬術の行事があり、これらを含む他の予備的な行事の後、愈々その番立てに従って、左右から一頭ずつ、直線馬場を馬出しの桜から駆けさせ、馬場端に設けた頓宮(仮殿)の前にある鉾を早く過ぎた方を勝とする競技が行われる。左方が勝つと赤丸の扇、右方が勝つと白丸の扇が念人(ねんにん)(判者)により掲げられる。
騎手は乗尻(のりじり)と称し、左方(赤方)は打毬(だきゅう)、右方(黒方)は狛鉾(こまぼこ)の舞楽の装束をまとっている。これは武徳殿の前で、地方から集めた馬の品定めを行なった後、駒迎えの公事として雅楽舞を開宴したことに拠るそうである。