豊国神社10月(2019)

雨の一日。

久しぶりに名古屋・豊国神社の月釜に出かけました。
席主さんは、裏千家・小塚宗康氏と葉月会でした。
10月は名残りの茶ということで、詫びた風情を設えに如何に取り込むか、席主さんの心配りが道具組にも見てとれました。

豊頌軒では火桶が風炉に、桐蔭席では大きな瓢を風炉に仕立ててありました。
本物の砧に穴を開けた花入、半枯れの竹の灰吹き、小振りの白阿蘭陀の細水指、織部のザルの菓子器などなど、目を楽しませていただきました。

お花として、タネの果皮が弾け真っ赤な内側に黒い種が数粒ついている山芍薬が使われていたのにはビックリしました。
この時期に、この状態の綺麗な山芍薬がまだあることに対してです…。

※一年も経つと柄杓の小枝と笹葉は流石に無くなっています。

※関守石も雨に打たれていました。

詩歌をちこち 【氷室香】 

|①『堀川百首』 夏十五首 519
|     仲実
つげののに大山もりがをさめたる ひむろぞ今もたえせざりける
〔大意〕闘鶏(つげ)の野で大山守が治めていた氷室は今も絶えずにあるのだ。

|②『堀川百首』 夏十五首 526
|     肥後
氷ゐて千年の夏も消えせじな 松がさきなるひむろとおもへば
〔大意〕氷が凍っていて、千年の夏も消えないであろうよ。松という名を持つ松が崎にある氷室と思うので。

*和歌出典『新編国歌大観』(角川書店)
*大意出典『和歌文学大系』(明治書院)
※藤原仲実(ふじわらのなかざね)
※肥後(ひご)

会期末が今月20日(日)となっている「陶工・河井寛次郎」展へ先日行ってきました。
京都国立近代美術館所蔵の川勝コレクションの展示です。

河井寛次郎と云えば「民藝運動」という固定観念を今まで持っていたのですが、全262点の展示作品を見て思いを新たにしました。
作品はきちんと作ってあり、チラシにもあるように「陶工」という表現が一番ふさわしいように感じました。

作品の中で最も心を動かされたのは、黒・赤・緑の3色の釉薬を器に向かって打ちつける「打薬(うちぐすり)」の技法で作られた茶碗。
しばらくの間、見とれてしまいました…。(^O^)