八手の花

やつで【八手】の花が咲いています。

今日で11月が終わり、今年も残すところ一か月となりました。
とは言え、旧暦では今日は十月十六日、まだ「神無月」の最中です。

神無月の名については、全国の神々が出雲大社に集まって、諸国が「神無しになる月」だからとの俗説があります。

従って、出雲では全国の神々が集まることから、旧暦十月は特別に「神在月(かみありづき)」と呼ばれているようです。
出雲大社のHPを見ると、「神在祭」として11月24日夕刻から12月1日夕刻まで、諸神事を執り行なう旨の記事がありました。
明日の夕刻には、出雲大社の西にある稲佐の浜から神々がそれぞれの国にお帰りになる神事が執り行なわれるようです…。

出雲大社本殿の東西には小さな社がたくさん設けられていて、神在月の間はそれらの社の扉が開けられるという話を聞いたことがありますが、神々がお帰りになった後は閉じられるのでしょうか、それとも神無月・神在月が終わるまでは開けたままなのでしょうか、フッと頭の中をよぎりました。(^^)

その出雲大社。
香道で用いられる道具の一つ「うぐいす」の由来について、あるやなしやの話題を提供しています。

志野流香道先代家元・蜂谷宗由宗匠は随筆「香道の心得」の中で、香包を挿しとめる細い金属製の串「鶯」の謂れについて次のように記しています。

「出雲大社の、年に一度開かれる鶯門を神が通られるとのことから、神に紙をかけたとか、宇佐・熊野・伊勢・住吉の四神の頭字を取り、同じく紙に神をかけて、もじったものといわれたり、また、東福門院が「あかなくにをれるばかりぞ梅のはな 香を尋ねてぞうぐひすの啼く」の古歌から名付けられたともいわれています。そのほか一、二の説もありますが、その思い付きにはなかなか興の深いものを覚えます。」

興味深いお話です…。

出雲大社に「鶯門」が実際にあるのかどうか、現地を訪れる機会があれば是非お尋ねしてみたいものだと思っています。
以前、少し調べたことがありますが確認できなかった門です…。

また、東福門院が順徳帝の歌から名付けられたとも、と記してありますが、お香に造詣が深く、東福門院作の組香として「蓮香」などが伝えられているほどですから、「なるほど…」とは思います。
梅と鶯を詠んだ歌ならたくさんありそうですが、歌を特定しているところが、伝承の伝承たる所以かもしれません。

ウグイスと云えば、茶道裏千家中興の祖・玄々斎宗匠が考案した茶箱「月」点前にU字形のウグイスが用いられています。
「器据」と呼ばれる板にウグイスを差し、それに茶筅の柄を差して立てますが、香道で用いられる「うぐいす」からの転用と云われています。
十一世玄々斎は、香道を習得した家元としても知られていて、五個の源氏香図をあしらった「源氏棗」は有名な好み物となっています。

秋の茶箱「月」点前は、数ある茶箱点の中でもひときわ趣のある点前として、裏千家では人気が高いように聞いています。
懐かしい…。(^^)