雪ころがし

今年最後の和楽会に出された蓋置は唐子の雪ころがし。

この意匠の出処は恐らく源氏物語「朝顔」の巻。

1650年代半ばの江戸時代に出版された『源氏物語』-朝顔-の挿絵には、雪ころがしの場面が描かれています。


※『絵本源氏物語』(貴重本刊行会)より

蓋置は、雪をころがす童女を唐子に置き換えた意匠となっています。

唐子三つ人形の蓋置はよく見るところですが、雪ころがしにしたところがアイディアですね。(^O^)

『絵本源氏物語』-朝顔-には、上の挿絵に次の様な解説が添えられています。

//「雪がたいそう積った上に今も舞っていたが、空には月が冴えていた。六条院の庭の雪をかぶった松と竹の違いは風情があるが、前栽は雪に萎れ遣り水はむせびなき、、池の氷は身にしみる感じである。源氏は童女たちを庭に下ろして雪ころがしをさせた。童女たちのはしゃぎ回る姿は月に映えてかわいかった。この夜、源氏は藤壺や他の女性のことを紫の上に話した。」//

蓋置の作家さんがどなたかは存じませんが、趣向に富んだ作品に出会いました。