重陽の節供

9月9日は五節供の一つ「重陽の節供」の日。

元は旧暦の九月九日の行事で、陽数(奇数)九が二つ重なるお目出度い日であることから、日本では奈良時代より宮中で観菊の宴が催され、別名「菊の節供」とも呼ばれています。

前夜、菊の花に真綿を被せ、香りと露を移したその真綿で身を拭って延命長寿を願う「菊の着せ綿」、菊と付随する和歌の優劣を競う「菊合わせ」、そして「菊酒」などで節供を祝ったようです。

中国、河南省にある白河の支流崖上にある菊の露が滴り落ち、これを飲んだ者は長生きしたという「菊水」の故事から、菊には不老長寿の効があるとされています。

残念ながら、流石に菊の開花にはまだ早く、菊花を浮かべる「菊酒」などは望めませんが、延命長寿にあやかるべく、越後の銘酒「菊水」をいただくことにしました。

香道には、組香【重陽香】が用意されています。

◆香は四種
一として 二包で内一包試
二として 三包で内一包試
初三として 三包で無試
後三として 同断

◆聞き方
試みを終え、出香九包を打ち交ぜ炷き出します。
一、二の香は試みに合わせて聞き、三の香は無試なので初めに出たのを初三とし、後に出たのを後三とします。

◆名目
聞きに応じて、記録紙には名目が付されます。
一二の香が三炷とも当たれば 
初三の香が三炷とも当たれば 
後三の香が三炷とも当たれば 
一ばかり当り、二不当なら  我宿
一不当、二ばかり当たれば  白露
初後三の香二炷ずつ当たれば 幾代

全当りの人には、点数の処に 重陽

◆記録紙に書く漢詩と和歌
燕知社日辞巣去 菊為重陽冒雨開
我が宿の菊のしら露けふ毎にいく代つもりて淵となるらん

燕・菊・雨が多い時は詩を、我宿・白露・幾代が多い時は歌一首を、記の奥に書きます。
また、座の人数のうち全当りの人が半数以上ならば、詩・歌の両方を書きます。

※[メモ]
漢詩・和歌についてはブログ内「詩歌をちこち](2019年6月29日)の【重陽香】を参照していただければ幸いです。(^^)
なお、『和漢朗詠集』の261、265に詩歌はあります。

…と、ここまで書いてから、サイト内で「重陽香」を検索してみたところ、2017年9月10日に【重陽香】のことを記していました。

なんと!…です。

四年も経てば、すっかり忘れてるってこと?

いやはや…。