三笑釜

NHKEテレ「趣味どきっ!」の2・3月は「茶の湯 表千家 掃径迎良友」。
2月末の第四回「炭点前」の「道具を学ぶ」コーナーに出演していたのは釜師・十六代大西清右衛門。
炉にかけてあったのは同氏作の一文字釜「三笑釜」。

「虎渓三笑」の故事に因んで、釜の環付は虎、胴に三人の賢者を浮き上がらせた意匠となっています。
代譲りをした千宗旦こと十五代而妙斎宗匠が寅年生まれということから作られた釜だそうです。

映し出された釜の肩は水平のように見えましたが、鋳型に鉄を流し込む際には傾きがあった方が作り易いことから、技術的にはかなり難しくなるとか…。
「三笑釜」は、釜蓋と相まって、均整の取れたとても美しい形です。

10日以上も前のことを思い出したのは、『茶道雑誌』3月号の家元初釜の記事に「三笑釜」の文字があったからです。
今年は奇しくも寅年。
表千家の初釜では、鐶付が虎の形の「三笑釜」、そして吸江斎作茶杓の銘「猛乕」など、虎に因んだ道具が使われています。(乕は虎の俗字)
会記を見ると、濃茶席の床の掛物は元伯宗旦筆二行「春入千林處々鶯」、お菓子は虎屋の「常盤饅頭」と例年通りとなっていました。(こちらも寅!なんちゃって)

虎に因む禅語は十以上あるようですが、その中からいくつか拾ってみました。(虎⇆乕)
虎一声清風起
虎渓三笑
猛虎当路坐
龍吟雲起虎嘯風生

※虎渓三笑(こけいさんしょう)
晉の慧遠(えおん)法師が廬山にいた時、訪ねてきた詩人の陶淵明、道士の陸修静を送りながら、話に夢中になって、日頃渡るのを避けていた虎渓を過ぎてしまい、虎の声に初めて気がつき、三人で大笑いしたという「廬山記ー叙山木」の故事。また、それを画題とした水墨画。(出典『日本国語大辞典』)

※虎嘯(こしょう/虎うそぶく)
①虎のほえること。また、虎のような声でほえたてること。
②英雄、豪傑が世に出て活躍することのたとえ。(出典『日本国語大辞典』)

「虎嘯」は今年の志野流聞香始で、点心席福引の大当り賞・家元筆短冊の文言でした。
引き当てた人は超ラッキーです。(^^)

公園の山野草コーナーに植えてあるセツブンソウとユキワリイチゲの花が咲いていました。
写真を見たことはありますが、実物を見たのは初めてです。
セツブンソウ【節分草】が思っていたよりも随分小さく、意外な愛らしさでしたね。(^^)

※セツブンソウ

※ユキワリイチゲ

今日の最高気温は22℃、とても暖かい一日でした。(^^)
すっかり、春です。