灰の陰陽

前回の記事「五合十筋」は余りにも重箱の隅を突き過ぎました。
今日になって、一昔前にBSjapanで放送された「奥深き香道を継ぐ~500年の時を超えて~」の中に、香炉の灰の割り方について家元と若宗匠の会話があったことを思い出し、録画ビデオを見直してみました。

10月8日に薬師寺で行なわれた「天武忌」の献香を終え、奈良ホテルのバーでワインを飲みながらの会話シーンです。
当日、献香の香炉灰は六面に割られていることがTV画面からも読み取れました。(筋の本数は不明)

若「今日は灰を作る時、六面をつくったでしょう。その理由は? 普段は五面じゃない…」
家「一般の時は陰数と陽数の組み合わせ。陽・陽でするのか、陰・陰でするのか、それはその場合場合で変わってくる」
若「なぜ、仏様の時は…」
家「陰・陰になる。これは仏様というよりも、今亡くなった方のためにするのではなく、これはお祝いのようなもの」
若「天武忌だから、何百年も前に亡くなっているから…」
家「これはもうお祝いですよ」
※会話部分は一部省略・変更しました。

TV番組であることから、台本があり、場面や会話はあれこれ編集されていると思われます。
具体的な説明がなかったので、当時は会話の空白部分を頭の中で埋めながら視聴していたように思います。(現在でも!)

香炉灰の面の割り方に、陰(偶数)と陽(奇数)が関わっていることは良く知られていて、市販本の中には写真を添えて具体的に記されています。
『香道の作法と組香』(雄山閣)の記述によると、次のようです。
真の灰手前:五行十筋(陽・陰)
神仏へ献香:六行九筋(陰・陽)
忌中の供香:四行十筋(陰・陰)

カレンダーを見ると、今年の「天武忌」は今週の土曜日(10/8)、奇しくも後の月・十三夜の日となっています。
月を愛でながら、酌み交わすお酒が美味しそうです。

10月8日の「天武忌」当日には、組香席もあるように聞いています。
コロナ感染は減少傾向にあるものの、個人的には奈良はまだちょっと遠いようです。(^^)

今日の愛知のコロナ新規感染者は7月4日以来の三桁に減少、612人でした。

公園では、いつの間にか秋が進行中です。